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長崎市の海に放置された廃船がインスタ映えで人気です。場所や行き方、放置されたまま撤去されない理由などをリサーチしました。
長崎市小瀬戸町にある廃船「銀杏丸」
塗装がはげ、赤茶色く錆(さ)びた船体。あばら骨のように突き出たクレーン。操舵室の床は抜け落ち、船底のタンクが剥(む)き出しになっています。
その姿は、まるで幽霊船。そんな、おどろおどろしい、放置された廃船がインスタ映えすると、逆に人気です。
廃船など打ち捨てられた物や風景を撮り続ける写真愛好家。あるいは、インスタ映えを知って、わざわざ足を延ばして来る人もいます。
地元民にとっては単なる迷惑な廃棄物が、インスタグラマーらにとっては格好の被写体となって、意外な人気を呼んでいます。
その廃船とは、長崎市小瀬戸町(こせどまち)の鼠島(ねずみじま)公園の近くの浜に放置されている銀杏丸(いちょうまる)です。
細長い長崎湾、外洋の入り口付近に突き出た皇后島(こうごしま)、別称・ねずみ島にあります。
皇后島は、元々は長崎湾にあった小島でした。明治時代に子ども向けの水泳道場が設置され、1972年に閉鎖されるまで、多くの児童・生徒が、この島で水泳を学びました。
しかし、1970年代に行われた埋め立て工事により、現在は陸繋化(りくけいか)して、半島の形になっています。行政区分としては、長崎市小瀬戸町になっています。
その皇后島の先端の波打ち際に放置された廃船、銀杏丸はあります。
Googleストリートビューや、Googleアースでも確認できますよ。
廃船までJR長崎駅から約20分、バス260円・タクシー2000円台
JR長崎駅からのアクセスは、バス停「長崎駅前」から「神の島」行きか「神の島工業団地」行き乗車21~23分、バス停「小瀬戸町」下車、260円、さらに徒歩4分です。乗車時に、小瀬戸町に停車するか、運転手さんに必ず確認してください。停車しなければ、運転手さんが教えてくれる代替案に従ってみてください。
便利なタクシーなら、JR長崎駅から長崎市小瀬戸町まで約20分、2120円(目安)です。1人では割高ですが、2人以上ならさほどではありません。交渉次第で、帰りを待っていてくれるかもしれません。
マイカーやレンタカーなら、鼠島公園に無料駐車場(13台)がありますので、そこに車を駐めてください。
非日常な滅びの風景、インスタで人気
廃船は長さは約20メートル。
操舵(そうだ)室の前方に「東京都」のプレート、後方には船名とみられる「銀杏丸」の文字、総トン数、船体番号も記載されています。
船尾には、クレーンが備えられています。他の船の錨(いかり)を揚げる作業に用いられたと見られていますが、実際や詳しい来歴などは不明です。
鼠島公園の先の海岸に錆び付いたまま、20年以上も放置されています。
地元住民にとっては、事故が起きかねない危険で迷惑な“厄介者”ですが、今にも崩れ落ちそうな“はかなさ”が人気で、インスタ映えのスポットとして人気です。
満潮時には、船体の半分近くが沈みます。
日が落ちて、月明かりに照らされる姿は非日常的な滅びの風景として、Instagramなどで格好の題材となっています。
所有企業は解散、20年以上も放置
長崎県の長崎港湾漁港事務所によると、所有者は関西の会社です。登記簿の業務内容には、電気・土木関係の工事、船舶の売買などが記されています。
1997年10月から約半年、同社は、県内の港湾施設から、現在の場所に移動させました。
地元の方たちの話を総合すると、同社は、銀杏丸を転売目的で購入したものの、買い手が付かず、放置したと見られます。
移動前の港湾施設でも、係留の使用料は支払われていません。
長崎県は、これまで撤去を文書で命じてきましたが、同社は拒否しています。
「資力がない」「資金不足」
2015年3月、同社の経営者が亡くなりました。12月には、会社も解散。
その結果、所有者が不明となり、撤去できないでいます。
長崎県は、経営者の親族にも連絡を試みましたが、音信不通で、不首尾に終わっています。
「事故の恐れ」地元は再三、撤去を求め
地元住民らは再三、長崎県に撤去を求めてきました。
干潮時には、海岸から乗り込むことができるので、倒壊事故に巻き込まれる恐れがあります。
小瀬戸町木鉢浦(きばちうら)自治会の中ノ瀬近市会長は「事故があってからでは遅い」と訴えます。
「自治会で、県のほうにですね、毎年毎年『この船を撤去してください』と。(クレーンの)ワイヤが切断されて(部品が)落ちたら、大ケガするんですよね。だから、そうなる前に『早く撤去してください』と言うわけですよ」
また、毎年正月3日、近くの浜辺で、子どもたちの寒中水泳が行われます。廃船の前は、浜辺への通り道にもなります。
「1月3日にですね、市内の遊泳協会の子どもさんたちが寒中水泳するわけですよ。事故が起きてからでは遅い」
しかし、長崎県の試算では、処分費用は少なくとも1500万円はします。
所有者が不明の状態で、長崎県が代執行で強制撤去すれば、費用を全額、税金で賄うことになります。
言い換えれば、不法投棄物の処理費用を捨てられたほうが負担するわけで、捨てたほうは捨て得になります。
住民からは、税負担による撤去を求める声が根強いのも事実です。
「今後のことを考えれば、早く撤去したほうが危なくないし、税金でしてもらったほうがいいんじゃないですかね」
長崎港湾漁港事務所は、
「限られた予算の中で優先順位もあるが、処分に向けて検討したい」
としています。
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