カルロス・ゴーンの国外逃亡の主張は?三浦瑠麗の見方は日本の検察に批判の恐れも












スポンサードリンク




カルロス・ゴーン被告(65歳)はレバノンで1月8日、記者会見を開きます。主張の内容や逃亡の理由で日本の検察が国際批判にさらされる恐れを三浦瑠麗さんが指摘しています。

スポンサードリンク

カルロス・ゴーン海外逃亡のニュース

2019年12月31日。大みそかの日本に、保釈中のカルロス・ゴーン被告が日本を出て、レバノンのベイルートにいる大ニュースが走りました。

私も含めて、目が点になった人は多いでしょう。

いったい、なぜ?

カルロス・ゴーン被告の場合、初犯であり、高齢者であることを考慮すると、たとえ有罪判決が出たとしても執行猶予の付く可能性は大きいと思われます。

仮に、無罪の主張が反省していないと取られて実刑判決が出たとしても、必ず控訴するでしょうから、その間に国外に逃亡すればよかったはずです。

そもそも、ブラジル生まれのカルロス・ゴーン被告にとって、レバノンは両親の母国であって、あまり思い入れはないはずです。

カルロス・ゴーン被告は1960年、6歳のときに両親の故郷ベイルートに移住。中等教育の修了までベイルートにいて、その後はフランスに渡っています。

つまり、カルロス・ゴーン被告は国際人、コスモポリタンです。ベイルートは親類縁者や友人がいて、好きな町であっても、そこを離れられないほどではないはずです。

あなただったら、どうしますか? 日本で刑事裁判の被告人にされたとして、日本を捨てて、レバノンに移りますか。私だったら、普通に東京のほうがいいですよ。美味しいラーメンの店もありますしね(笑)。

その点、ベイルートには美味しいラーメンがあるかどうか分からないですし、レバノン料理っていってもピンと来ないしなぁ。

ゴーン被告の会見、焦点は?

冗談はさておき、カルロス・ゴーン被告は、年末の日本を映画みたいな方法で脱出しました。

日本で暮らす人たちにから見れば、ヒーローとは言い難いですが、レバノンの人たち、あるいはフランス人、ヨーロッパの人たちにはどう迎えられるのでしょうか。

それともう一つ、気になるのが1月8日夜10時(日本時間)から、ベイルートで行われるカルロス・ゴーン被告の記者会見です。

会見にはもちろん、東京地検特捜部が偽証容疑で逮捕状を取った妻、キャロル・ナハス容疑者(53歳)も同席するはずです。

日本メディアを締め出して行われる会見で、カルロス・ゴーン被告とキャロル・ナハス容疑者は、逃亡の理由をどう説明するのか、何を訴えるのか、非常に注目されるところです。

人質司法・知識不足、三浦瑠麗が問題点を指摘

その点に関して、国際政治学者・三浦瑠麗(みうら・るり)さん(39歳)が出演した「とくダネ!」(フジテレビ系列)で、非常に重要な指摘をしています。

「すでに日本国内では、一緒に逮捕された(グレッグ・)ケリー被告(63歳)が、独占告白をしているんですね、月刊誌に対して。

その中には、西川(廣人〈さいかわ・ひろと〉)さん(66歳)の主張と全く食い違う事実が出て来たりとか、なぜ、日産の取締役会で、何にも、ゴーンさんに対して異議を唱えなかったにもかかわらず、いきなり検察に行ったんだとか、一部始終が明らかにされているので、まずは、人質司法といわれる問題にクローズアップされ、そして、ほとんどの欧米の人たちが気にするのは、やっぱ、そこですよね」

確かに。人質司法とは、ご存じない方のために説明すると、被疑者や被告人は、捜査機関に長期間、身柄拘束されるという日本の刑事司法独特の慣習です。

欧米では、犯罪容疑で逮捕されても、証拠を保全し、被疑者の供述調書が取れたら、身柄は保釈されるのが普通です。

例えば、2005年11月20日、マイケル・ジャクソンが逮捕されたとき。米カリフォルニア州サンタバーバラ郡の保安官に逮捕されたマイケル・ジャクソンは、その日のうちに300万ドルで保釈されました。

しかし、日本では2002年6月に斡旋収賄の疑いで逮捕された鈴木宗男代議士は437日、佐藤優さんは2002年5月に背任容疑で逮捕されてから512日、保釈されず、拘置所に拘置されました。

罪状を認める供述をするまで拘束を解かない捜査手法は「人質司法」と呼ばれ、カルロス・ゴーン被告の事件でも、拘束は長期に及び、国際的な批判を受けました。

三浦瑠麗さんは、そんな「人質司法」の次に、検察側の捜査の問題点を指摘します。

「次に、ゴーンさんの主戦場となるのが、やはり経済犯罪に関する日本の司法、とりわけ検察あるいは裁判官の知識のなさですね。

問題はですね、ゴーンさんが最初に逮捕されたときには、有価証券報告書の虚偽記載で逮捕されているわけですよ。

90億とも言われているんですけれども、なぜ、どのような根拠で、そのような判断に検察が至ったかに関しては、ほぼ私たちに対しては、資料はないんですね。

存在するのは、日付も署名も入っていない、結ばれていない契約の下案だけなんです。

で、それは何かって言ったら、ゴーンさんが退職後、日産と競合する他社に行かないようにするため『今度は、コンサルタントとして、契約をしよう。このような案を、日産は用意しますから、他の競合他社に行かないでくださいね』という契約下案なんですよね。

これは、欧米の社会では、そのときの日産の業績、あるいはゴーンさんの実力度合いによって、そもそも契約でもないので、約束が反故にされることは、もう往々にしてあり得ることなんで、普通の経済犯罪に関する先進国の感覚で言えば『日本の検察は、どうしちゃったんだろう』という風に思わざるを得ない情報が、出て来るでしょうね」

まさに、三浦瑠麗さんの指摘通りです。

私たちは忘れていましたが、2018年11月、最初にカルロス・ゴーン被告が羽田空港で逮捕されたときって、有価証券報告書への虚偽記載だったんですよね。

自分の役員報酬を抑える代わりに、役員を退職後にコンサルタント料としてお金を後払いするって密約があったという容疑でした。

その証拠は、内部告発で、これは物証ではありません。日本国憲法38条には、

「強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。

何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない」

とあります。内部告発は、自白ではないので、それだけで人を有罪にできますが、公正な裁判の観点からは、望ましい状態ではありません。

検察側は、やはり、きちんとした物証を揃えるべきです。

その点、唯一の物証と言えるのが、電子メールの下書きでした。下書きには署名もありませんし、当然、日付も入っていませんでした。入っていても、電子データなので、証拠能力に問題があります。

つまり、三浦瑠麗さんの言われる通り、今回の東京地検特捜部の捜査は案外、危ういんですね。

「結局、先ほど申し上げたように、検察とか裁判官が、国際的なカンパニーにおける契約のあり方とか、例えば、退職後のコンサルタント契約の書類の書き方とか、その英語表現に関しても、おそらく一切の知識がないと思われるような発言が、私から見ても、相次いでいるんですね。

なので、外資系の会社の取締役を1回でもやったことのある人間からすれば、あり得ないような知識のなさを露呈しているので、やはり、ここは、一方的なって伊藤(利尋)さん(47歳)は仰ったんで、もちろん、一方的なんですけども、日本の司法の経済問題に関する知識のなさが露呈されてしまうのではないかなという風に懸念していて、人質司法の問題だけじゃないんだぞってこと」

三浦瑠麗さんの指摘通り、日本の法曹関係者で、国際企業の法務に詳しい人は、あまりいないでしょう。

少なくとも、検察官や、刑事担当の裁判官には少ないと思われます。

そういった視点から、三浦瑠麗さんは、カルロス・ゴーン被告が保釈を破って国外逃亡に踏み切った理由を推測します。

「だから、たぶん、裁判所が(弁護士の)山田(秀雄)さんが仰ったように、無罪にする可能性はあったんですけど、その知識のなさ、常識のなさを考えると、おそらく、間違った判断をするかもしれないっていう風に、考えたんじゃないか」

なるほど。こうした日本の刑事司法の知識不足と、最前の人質司法を合わせると、カルロス・ゴーン被告の目論見通り、欧米の世論は、カルロス・ゴーン被告を擁護するものになるかもしれません。

それは、日本の検察の国際的な“敗北”でもあります。

ゴーン被告への支持、渡部陽一は疑問視

最後に、密出国のカルロス・ゴーン被告は、レバノンで、国民から受け入れられるかという問題に、戦場カメラマン渡部陽一さん(47歳)が答えました。

――レバノンでは英雄だと言われますけど、レバノン国民は、この密出国した男でも英雄なんですか?

「昨年からレバノンで、反政府デモが拡大しているんですね。それは、レバノン政府の汚職問題に対して国民が怒っている、そうした汚職に関わった同じようなレールを辿った人物が国民から完全に支持されるかというのは、ちょっと、この先、難しい気もしますね」

日本の検察の手法が欧米で受け入れられないからといって、カルロス・ゴーン被告が、そのままレバノンや欧米で支持されるとは行かない状況です。

カルロス・ゴーンの逃走方法は?保釈中の東京や空港からレバノンまでルートまとめ

スポンサードリンク

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください