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世界が注目する日本の伝統美“BONSAI(盆栽)”――そんな日本を代表する名品を100点以上も所蔵している世界初の公立の盆栽ミュージアム、さいたま市大宮(おおみや)盆栽美術館に行ってきました。
鉢の中に大自然の美を凝縮して映した盆栽は、ジャパン・クールのアートの一つとして、世界中に感動を広げています。盆栽の聖地・さいたま市で、あなたも盆栽の世界に触れてみませんか。
電車なら、湘南新宿ラインがお勧め
名称:さいたま市大宮(おおみや)盆栽美術館
創立:2010年
所在地:さいたま市北区土呂町(とろちょう)2-24-3
電話:042-780-2091
開館時間:午前9時~午後4時30分(11~2月は午後4時まで)※入館は、閉館の30分前まで
休み:木曜日(祝日は開館)、年末年始、臨時休あり
アクセス:JR宇都宮線(湘南新宿ライン)土呂(とろ)駅下車、東口から徒歩5分。東武アーバンパークライン大宮公園駅下車、徒歩10分
観覧料:一般300円(20人以上の団体200円)、高大生・65歳以上150円(団体100円)/ 小中学生100円(団体50円)※障害者手帳をお持ちの方と、付き添いの方1人まで半額
公式サイト:http://www.bonsai-art-museum.jp/
わたしと同行者は8月30日(水)、JR新宿駅を午前8時57分発の湘南新宿ラインに乗って、乗り換えなしで土呂駅で降りました。
通勤時間帯とはいえ、下り電車なので、バラバラでしたが、楽勝で座れましたヨ。
乗車時間は片道35分、運賃は580円です。
フツーに、新宿駅から埼京線に乗って、赤羽(あかばね)駅で宇都宮線に乗り換えてもいんですが結局、土呂駅への到着時刻が変わらないうえ、座れない可能性が大きいです。
なので、イチ押しは1本、電車を待ってでも湘南新宿ラインに乗る方法です。
想像以上に田舎、土呂駅前にはコンビニ1軒
予定通り、午前9時32分に、土呂駅に着きました。
言っちゃ悪いですが、小さな駅ですね~。ホームが一つ、乗り場は上り下りの二つしか、ありません。
たった一つしかないホームの階段をテクテク上ると、やはり一つしかない自動改札口が見えてきます。
改札を抜けると、もう、さいたま市大宮盆栽美術館への道順がデッカク出ています。
下には、ご丁寧に地図まで掲示されています。
もうとにかく、至る所に矢印が掲示されているので、地図は全く不要です。有名な方向音痴のわたしでさえ迷わず、一発で行けましたので、ご安心くださいね。
改めて振り返りますと、土呂駅は、こんな感じの建物です。想像以上に田舎なので、駅前にはファミリマートが1軒あるだけです。雨が降りそうな場合、この先、さいたま市大宮盆栽美術館まで、コンビニは1軒もありませんので、ご用心くださいね。
館内は基本的に撮影禁止、写真は指定エリアで
公式サイトによると徒歩5分の距離を、10分ほど歩いて(笑)、さいたま市大宮盆栽美術館に着きました。盆栽の美術館だけあって、門前の大きな木が目印です。
和風の瀟洒(しょうしゃ)な門を、くぐります。
入り口わきには傘置き場や、自転車置き場もありますよ。
入ってすぐのロビーには、盆石(ぼんせき、大辞泉「黒漆塗りの盆の上に、数個の自然石や砂を配して自然の景観を表すもの」)が、飾られていました。〈季節の一鉢〉といいます。
美多賀鼻千世(みたがはな・ちせ)さんの「石庭(せきてい) 青(あお)もみじ」という作品です。
館内は、基本的に撮影禁止なので、ご注意くださいね。
撮影オーケーなのは、1階ロビーの〈季節の一鉢〉、受付前のガラス越し、2階の盆栽テラスからの外景、庭園の中の撮影コーナーだけです。
受付の女性に理由を尋ねたら、撮影に気を取られての転倒や接触事故防止、盆栽観賞中の静穏保持のためだそうです。外国から来たお客さんの中には、盆栽を前にして瞑想(めいそう)する人もいるんですって。
真・行・草、3種類の座敷飾り
受付で入館料300円を支払い、チケットをもらって、中に入ります。
まず、最初に〈プロローグ〉というスペースがあります。
ここでは、初心者向けに盆栽の見方を、案内してくれています。
盆栽には、表と裏があり、表から見たときに最も美しく見えるよう、枝の剪定(せんてい)などがなされています。
樹の先が枯れている物をジン(神)、幹の一部が枯れて白くなっている物をシャリ(舎利)と呼び、格別に珍重されています。
盆栽の手入れについても、展示があります。
盆栽の木は時々、鉢から取り出して、よけいな根を切り落とします。
なるほど。でなきゃ、本物の木みたいに大きくなっちゃいますものね。
盆栽の基礎知識を学んだら〈ギャラリー〉で、実際の盆栽を観賞します。季節に合わせ、五つの盆栽を展示しています。撮影NGゾーンなので、美術館の許可を得て、サイトから写真を転載しております。
さらに進みますと〈座敷飾り〉のスペースに出ます。
ここは江戸時代に確立された日本の座敷(床の間)と盆栽の関係を、展示してくれています。
無知なわたしは全く知らなかったのですが、座敷は、漢字の書体になぞらえて〈真(しん)の間〉〈行の間〉〈草(そう)の間〉の3種類があるんです。
〈真の間〉は、最も格式の高い座敷です。床柱(とこばしら)は柾目(まさめ)の杉、下框(しもがまち)は、黒漆塗りです。〈真の間〉では、格式に合わせて、格調の高い盆栽を置きます。
〈行の間〉は、厳格な真書と、崩した草書の中間に当たる行書のイメージに当たる座敷です。近代以降に造られたほとんどの座敷は、このタイプです。皆様のご実家の座敷も〈行の間〉が最も多いのではないでしょうか。模様木や、花もの盆栽などを飾るのに適しています。
〈草の間〉は、もっぱら茶席として工夫されてきました。柱や框(かまち)に別々の木を使うなど、変化と遊び心に満ちた空間になっています。床の間の左側にある横幅が狭い台目畳は、お茶を点てるための場所です。動感のある盆栽を飾るのに適しています
いよいよ庭園に、撮影ゾーンでパシャリ
内部を見終わったら、いよいよ庭園に出ます。
まずは、撮影ゾーンで、展示の盆栽をパシャリ。
これは、もみじ(獅子頭)ですね。こんな小さいのに、見ると立派な老木なんです。このギャップが、日本人の胸に響くんですね。
いわしで。根っこのコブをお楽しみください。
真柏(しんぱく)。ヒノキ科の常緑樹で、独特のシャリやジンが魅力となっています。
山もみじ、銘(名称)・紅陵(こうりょう)。見事な“大木”です。先ほどのもみじも、この山もみじも、秋になると紅葉し、冬には葉が散るのが魅力です。
蝦夷松(えぞまつ)、銘・轟(とどろき)です。通常の松と違う、北海道の松です。北の大地の風雪に耐える木の力強さをよく表現しています。
ちゃばひば。三方にせり出してゆくヒバの動感が素晴らしいですね。
花梨(かりん)。実際に、実がなるそうです。何とも愛らしい。写真では分かりませんが、柑橘類(かんきつるい)のいい香りがして、とっても爽(さわ)やかでした。
黒松、銘・巌(いわお)。黒い木肌を見てください。美しくシャリが入っていますね。
これも黒松。天に伸びる意思を、感じさせますね。
撮影禁止ゾーン、必見の盆栽二つは?
撮影禁止ゾーンでは、次の二つの盆栽が必見です。
まずは新柏、銘・武甲(ぶこう)。曲がりくねった白い幹が、何とも美しいです。埼玉県の秩父で山採りされたので、秩父の名山・武甲山(ぶこうさん)にちなんだ銘が付けられています。左の幹のジンが、迫力ある造形美となっています。
もう一つが、庭園内でひときわ存在感を放つ五葉松(ごようまつ)、銘・千代の松です。高さ1.6メートル、横幅は1.8メートルを超す、さいたま市大宮盆栽美術館の中で、最も大きい盆栽です。
所蔵品の中でも最大級の大きさを誇る盆栽である。土を力強くつかむ根張り、巨体をくねらせながら上昇する幹、華麗にして端正な枝ぶり、葉の威容。まさしく圧巻の盆栽です。
巨体ゆえに、日の当たりを調整する回転式展示台に飾られています。
館内にミュージアムショップ、駐車場に即売所も
再び建物内に戻り、ガラス越しに庭園を撮影しました。これもまた、見事な松ですね。
ミュージアムショップでは、各種の土産品、記念品が販売されています。ハンカチ(500円)にTシャツ(1200円)。
盆栽道具や記念の鉢、ポストカード。
手ぬぐい専門店〈かまわぬ〉とコラボした手ぬぐいも販売されています。
マグネット。
クリアファイルも。
2階の盆栽テラスから、庭園の全景を撮ってみました。中央に池があって、東屋も造られています。
1階に戻り、トイレに入ろうとしたら、こんなところにもミニ盆栽が。
赤松です。何か、かわいいですね。
ちなみに、トイレは、めちゃめちゃ、きれいでした。
トイレのわきには、無料のコインロッカーも設置されています。荷物が邪魔な人は、最初から預けちゃいましょう。
さらに、壁には、先ほどの手ぬぐいの全体見本が展示されています。
わたしは、この柄の手ぬぐいが気に入りました。
美術館に隣接する駐車場です。一般車39台(2時間まで無料)、大型バス3台(860円)、障害者用2台(無料)です。
ゲートわきにも、トイレがありますよ。
駐車場の奥には、大宮盆栽協同組合が運営する即売所があります。あいにく、9月15日まで夏期休業中でした。
ミニ盆栽は1000円前後から、ミニミニ鉢は200円ぐらいから、売られています。リーズナブルな価格の品が多いそうです。美術館の帰りに、ちょこっと気軽に寄れるのが、うれしいですね。
大宮盆栽村に行こう
さいたま市大宮盆栽美術館入り口の、道路の反対側には、その名も〈盆栽レストラン大宮〉があります。目と鼻の先なので、地図は省略しますね。美術館を訪れた後の、ランチや休憩にピッタリのお店です。
メニュー看板です。埼玉県は、ウナギが名物ですが、やはりトップは、うな丼ですね。
盆栽をイメージしたスイーツも充実しています。この日は、時間がなかったので、入れませんでしたが、次回、寄らせてくださいね。
さいたま市大宮盆栽美術館に寄ったなら、〈大宮盆栽村〉にも、ぜひ寄ってみましょう。
美術館から歩いてゆける距離です。
もともと、東京の千駄木(せんだぎ)に集まっていた盆栽業者が、関東大震災(1923)で被災したのをきっかけに、移り住んだのが〈大宮盆栽村〉の始まりです。
住所も、さいたま市北区盆栽町。現在、6軒の盆栽業者が、この地で営業しています。
今回、わたしたちは〈大宮盆栽村〉で最も歴史のある蔓青園(まんせいえん)さんを訪れました。
迫力ある盆栽が、駐車場まで、はみ出しています。
盆栽園は見学無料ですが、基本的に撮影禁止なので、内部は撮れませんでした。
でも、ぜひとも、訪問をお勧めします。ある意味、盆栽美術館より、質量共に、すごいです。日常を忘れて、ゆったりとした時間が流れてゆきます。
すべてをご紹介したいところですが、代わりに、さいたま国際観光協会の公式サイトを参考にして訪れてみてくださいね。
http://www.stib.jp/info/data/bonsai.html
盆栽園の方に聞いたら、清香園(せいこうえん)さんが女性に人気、蔓青園さんは通向け、藤樹園(とうじゅえん)さんは初心者に優しく、松雪園(しょうせつえん)さんは週末に盆栽教室、九霞園(きゅうかえん)さんはVIP愛用、芙蓉園(ふようえん)さんは国際的人気と、カラーに特色があるそうですよ。
あとがき
長文失礼、いたしました。
今回、初めて盆栽の聖地、さいたま市大宮盆栽美術館、〈大宮盆栽村〉を訪ねたのですが、驚いたのは外国人の多さです。
ちょっと聞いただけで、ドイツ、フランス、イギリス、アメリカからのお客さんがいました。
わたしたちが訪ねた蔓青園さんにも、白人男性3人が一生懸命、盆栽作りを修業されていました。
改めて、盆栽って、すごいアートなんだなあと思いました。
広大な大自然を、小さいミニチュアに閉じ込める。
無限の中の有限、有限の中の無限。
どうして、わたしたち日本人のご先祖は、こんな素晴らしい芸術を考え出したんだろうって、感動しちゃいました。
今、盆栽は決して老人の趣味ではありません、
盆栽は、日本を飛び出して、世界に広まろうとしています。
あなたも、この日本発の素晴らしいアートを、ぜひ、さいたま市で体感してください。
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