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2016年の24時間TVドラマ〈盲目のヨシノリ先生〉は、埼玉県の皆野(みなの)町立皆野中で教えている新井淑則(あらい・よしのり)先生(55)の実話を基にしています。
原作本は、新井淑則先生『光を失って心が見えた 全盲先生のメッセージ』(金の星社)です。
新井先生が、どうして目が不自由になったのか、奥さんやお子さんはどんな方なのか、実際には現在どうやって子供たちに教えているのか、気になるところですよね。
ドラマ放送前に“予習”しておきましょう。
新井先生ってどんな人? 嫁や子供は?
新井先生は1961年、埼玉県生まれ。中央大文学部を卒業した1984年、東秩父(ひがしちちぶ)中で憧れの国語教師になりました。
翌1985年、秩父一中に異動し、同僚の音楽教師だった真弓さんと恋に落ちて、結婚します。
1987年には横瀬(よこぜ)中に異動となり、初めて3年生のクラス担任になり、サッカー部の顧問として子供たちとグラウンドを走り回っていました。
さらに同じ年、第一子である長女も誕生。
まさに幸せ絶頂の28歳のとき、右目に網膜剥離(もうまくはくり)を発症します。
元々、強度の近視だったそうですが、網膜剥離は、何の前触れもなく突然、襲ってきました。
最初は、飛蚊症(ひぶんしょう)といって、目の前を飛んでいる虫が、たくさん見えたそうです。
「おかしいな、なんだろな」と不安に思っていた翌日、目覚めたら、右目の視界の上、3分の2が「暗幕が下りたみたい」に真っ暗になっていたそうです。
右目の視界の下、3分の1しか見えていない状態です。
新井先生は、それから治療と手術を繰り返しましたが、結局、右目は失明してしまいます。
クラス担任も、サッカー部の顧問も外されてしまい「もう二度と、クラス担任はできないのか、サッカー部員たちと自由にグラウンドを駆け回れられないのかと思うと、とても悲しかった」そうです。
埼玉県立秩父養護学校(現・特別支援学校)に移るも、34歳のとき、残された左目も網膜剥離を発症します。
入院して半年間で6回、手術を繰り返しましたが視力は戻らず、両眼ともに失明し「真っ暗な世界」に落ちてしまったのです。
「生きていてもしようがないと思い、入院先の7階の病室から飛び降りようと何度思ったことか……」
「退院しても、ただただ泣いていました。死ばかり、考えていました。でも、目が見えなければ、死に場所さえ、自力では行けない。全てに絶望していました」
半年間、悩み泣き続けた後、真弓さんの伝手で、所沢市の国立身体障害者リハビリテーションセンターに通うようになりました。
そこで、同じように障害のある多くの人たちと出会い、話し合うようになりました。
「自分だけが、つらいんじゃない。私も、あの人たちみたいに頑張ろうと、前向きな気持ちが芽生えてきました」
これが、新井先生が、立ち直る切っ掛けとなりました。
センターでは、点字の学習や白杖(はくじょう)を突いての歩行訓練が行われます。
意外にも、白杖の歩行訓練が、きつかったそうです。
指導員の先生は、手加減するどころか「命に関わるから、自分も命懸けで指導しているんだ」とかなり厳しかったそうです。訓練中に失敗して、何度も怒られました。
点字も、最初は、どうやって点の集まりを指先で読めるのか、分かるわけないと思っていました。
それが数カ月、修練を積むうちに、点の集まりが文字になり、文字が単語になりと、徐々に分かってゆきました。
リハビリセンターの指導員や仲間、妻の真弓さん、3人の子に励まされて、新井先生は懸命のリハビリを続けます。
更に、中途視覚障害者の高校教師との出会いに励まされ、復職を決意します。
37歳で、盲導犬と共に養護学校に復職します。
2008年4月、46歳のとき、長瀞中に着任します。
もう二度と戻れないと思っていた中学校の教壇に、かつて光り輝いていた頃の自分に返れたのです!
聞いているだけで、胸が熱くなってきます。ごめんなさい。書いていて、涙が出て来ました。
2014年4月、52歳で、長瀞中の1年生のクラス担任になりました。
泣く泣く、担任クラスの子供たちと別れてから、23年。
ついに、ついに――
新井先生の現在は?
中学校に戻った当初は、新任教師に返ったつもりで始めたそうです。
生徒の机の天板に名前の点字シールを張ったり、点字で座席表を作ったりしました。
また、最初に自己紹介をしてもらって、ICレコーダーで録音して繰り返し聞き、生徒の名前と声を覚えたそうです。
授業中、板書するときは、文字をまっすぐ書くために、裏に磁石を付けた定規を使っています。
新井先生は、長瀞中で、クラス担任になるまで6年間、週2日ほど、生徒の悩み相談をしていました。
同級生とのコミュニケーションがうまく取れず、心が傷つく子。なかなか学校に来られない不登校の子、学校で暴れてしまう子――。
新井先生は目が見えないので、人の外見にとらわれないし、声をかけたくないなと思えば無視できるので「子供にとっては、都合がいいみたいですね(笑)」。
新井先生は2015年4月、皆野中に勤務しています。
教師の傍ら、市民団体「ノーマライゼーション・教育ネットワーク」の代表として、障害のある教師を支援する活動を続けています。
新井先生の半生を知って、どれほど勇気づけられたか、分かりません。
困難は、誰にも存在するもの、襲いかかってくるものです。
でも、人間は生きている限り、困難に打ち勝てます。克服できます。
全盲になったとき、新井先生は、自殺する〈弱い勇気〉ではなく、もがき苦しんでリハビリに打ち込む〈強い勇気〉を選びました。
もしも今、あなたの心が折れそうになっていたら、自分にもっと勇気がほしいと思うなら、新井先生のドラマをぜひご覧になってください。
NEWSの加藤シゲアキさん(29)が、演じています。
放送は、8月27日(土)午後9時からの予定。
とっても、楽しみですよね。
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